Q:相続について誰に相談してよいのか分かりません。
  •   A .相続の専門家には、弁護士・司法書士・税理士・行政書士がいます。誰に相談していいかはその時の状況により判断していけばいいと思います。ですのであくまでも参考程度になるように簡単にご説明します。

 
〈弁護士〉
 相続関係についてはすべての手続きが行えます。相続人の間で遺産を巡り紛争がある場合には弁護士に依頼する以外方法はありません。司法書士などのほかの士業では紛争の仲裁は出来ません。
 
〈司法書士〉
亡くなった方が不動産を持っていた場合は相続手続きの中で不動産の名義を変更します。これは司法書士(弁護士は法律上は可能)しか出来ないのでこのような場合は司法書士に依頼するのがいいと思います。遺産の紛争に関することと税金関係以外はすべて出来ると考えていただいても大丈夫だと思います。
 
〈税理士〉
相続税がかかるかどうか気になる方は多いと思います。預貯金がたくさんあったり、不動産をいくつも持っていたりして資産が多い場合は相続税がかかったりすることがあるので税理士に相談した方がいいと思います。
 不動産の名義変更は行えません。
 
〈行政書士〉
相続に関する相談を受けて遺産分割協議書の作成や相続関係説明図の作成、遺言書の作成ができます。それ以外は紛争の解決、名義変更登記、税金の相談、相続放棄の手続きは行うことができません。しかし、行政庁に提出する書類を作成する事が出来るので自動車の名義変更や農地の所有者変更の届出などは行政書士の専門になります。

Q:相続税がかかるか気になります。
  •   A .相続税のことは税理士が専門ですので税理士に相談されるのがいいと思います。

以下に、相続税の控除額の計算方法を記載します。
いずれも相続人が3人いた場合
 
(1)平成26年12月31日以前
相続税の控除額=5000万円+1000万円×相続人の数
5000+1000×3=8000万円
相続財産をすべて足して8000万円までは相続税はかかりません。
 
(2)平成27年1月1日以降
相続税の控除額=3000万円+600万円×相続人の数
3000+600×3=4800万円
相続財産をすべて足して4800万円までは相続税はかかりません。
 
 ※ただし、上記の金額を超える場合であっても配偶者控除といった制度を利用すれば相続税がかからないこともあるので財産が多い場合は税理士にご相談いただくのがいいと思います。

Q:相続があったんですが何をしたらいいか分かりません?

 
 以下、一般的なお手続きの流れになります。
 

  • 被相続人の死亡
  • 死亡診断書・死体検案書を受け取ります
  • 役所へ行く
  • 死亡届を提出
  • 火葬許可申請
  • 年金受給停止
  • 健康保険
  • 世帯主変更
  • ※死亡届と火葬許可申請はすぐにやります
  • 通夜・葬儀・告別式
  • 遺言調査
  • 遺言書の検認
  • 相続人調査(戸籍収集)
  • 相続財産調査
  • 相続放棄するかどうかの判断
  • (相続があったことを知った時から3か月以内)
  • 遺産分割協議
  • 不動産の名義変更
  • 銀行の預貯金の払戻(解約)
  • 所得税準確定申告
  • (相続があったことを知った日の翌日から4か月以内)
  • 相続税申告
  • (相続があったことを知った日の翌日から10か月以内)
  • 遺留分減殺請求権の行使
  • (相続があったことを知ったときから1年以内)
  • (遺言書がなく協議によって財産を分割した場合は関係ありません)

 
 

  •  ※これ以外にも株式を保有していたりゴルフ会員権や電話加入権の変更、会社の取締役だった、農業やっていて組合に出資をしていた、保険などなど各種手続きもありますがあくまで一般的な手続きとなります。
Q:相続登記はしなければならないのですか?
  •   A .義務ではないのでしなければならないわけではありませんが後で色々と問題が発生することがあります。
Q:どんな問題ですか? 
  •   A.例えば、急にお金が必要になりいざ売ろうと思ったり、不動産を担保にして金融機関からお金を借りようとした場合に名義が変わってなかったためにすぐにお金が手に入らないこともあります。
  •  また、道路の拡幅工事をする場合、相続登記がされずに放置されていると一度相続人名義に登記を入れてからその土地を収用という形で国などが買い取って工事をするという流れになります。
  • しかし、その名義が何代も前の名義のままですと相続人が50人とか100人とか出てきて相続登記をするだけで1年以上も時間がかかったり手間も費用もかなりかかってしまうこともあります。
 Q:なぜそんなに時間がかかったり費用がかかるのですか?
  •  A.相続人が沢山おり全国に散らばっているため戸籍の収集(相続人の本籍地の市役所等で取得)をするだけでも半年かかることもあります。
  • また、相続人同士が顔を合わせた事のないような人達で遺産分割協議をすることになるので協議自体がうまくまとまるかも問題になるため時間がかかってしまいます。
  • うまく協議がまとまらなければ裁判所に遺産分割協議の調停を申立てていくことになります。
  • それでもまとまらなければ裁判によって決定してもらうことになります。
  • そのため、司法書士の報酬やその他実際にかかる費用が高くなってしまいます。
 Q:被相続人(亡くなった方のこと)に借金があった場合どうすればいいのですか?
  •    A.借金があった場合でもすぐに相続放棄をすればいいわけではなく、プラスの財産とマイナスの財産がどのくらいあるかを見て最終的に判断してから決めます。
  •  マイナスの財産が多いけど先祖代々承継してきた土地などを被相続人が所有していた場合は、全員が相続放棄をすると承継できないため少しのマイナスであれば相続人になって負債を返済していくことになります。
Q.どういうときに相続放棄を検討すべきですか?
  • A.1.明らかに借金の方が多いとき
  •  2.共同相続人の中に顔も合わせたくない人がいて関わりたくないようなとき
  •  3.被相続人が保証人になっているため相続をすると保証人である地位そのものも相続するため保証人の地位を受け継ぎたくないときなど
Q:相続放棄はいつでも出来るのですか?
  •  A.できません。
  • 自己のために相続の開始を知った時から3か月です。
  • しかし、相続財産が多かったり全国に不動産を所有していたりして3か月以内に放棄するかしないかの判断が難しい場合は家庭裁判所に対してあらかじめ期間伸長の申し立てをして放棄できる熟慮期間を延ばすことは出来ます。
Q:相続放棄ができないことがある?
  •  A.あります。
  • 上記に書いてある3か月以内に放棄をしなかった場合以外にも放棄が出来なくなることがあるのでご注意ください。
  • 民法第921条には法定単純承認と言って、相続人がある行為をした場合「単純承認したものとみなす」と言う規定を設けています。
  • みなすという規定は強力なもので悪気はなかったとか知らなかったとかそういう理屈は通じません。
  • ですので放棄をされるかどうか分らないうちでも、なるべくなら相続財産については手を出さない方がよいでしょう。
  • 民法921条
  • 一 相続人が相続財産の全部または一部を処分したとき。ただし、保存行為及び第602条に定める期間を来ない賃貸借をすることは、この限りでない。
  • 二 相続人が第915条第1項期間内に限定承認又は相続の放棄をしなかったとき
  • 三 相続人が限定承認又は相続の放棄をした後であっても、相続財産の全部若しくは一部を隠匿し、私にこれを消費し、又は悪意でこれを相続財産目録中に記載しなかったとき。だたし、その相続人が相続の放棄をしたことによって相続人となった者が相続の承認をした後は、この限りでない。
  • 上記の民法第921条1項の相続人が相続財産の全部又は一部を処分したときは単純承認したとみなされるため、いかに3か月以内であっても相続放棄が出来なくなります。
  • 例えば、被相続人の預貯金の解約・不動産の売却・株式の売却などになります。
Q.3ヶ月経過したら二度と相続放棄出来ないのですか?
  •    A.限定的ではありますが出来る場合はあります。
  • 例えば、借金がないと思い込んでいてそう思うことにつき合理的な理由がある場合には借金があったことを知った時から相続放棄ができる期間が開始されます。
 Q.相続放棄はどうやってするのですか?
  •    A.3ヶ月以内に家庭裁判所に申述します。 
  •  ※相続人同士で遺産分割協議を行い相続債務を負わない合意は本当の意味での相続放棄ではないので注意してください。
 Q.成年後見制度とは?
  •    A.認知症、知的障害、精神障害などによって事理弁識能力(物事の良しあしを判断する能力)がない方について、本人の権利や財産を守る後見人などを選ぶことで法律的に本人を支援する制度です。
  • その中には事理弁識能力の度合いによって後見、保佐、補助といった3種類の制度があります。
 Q.3種類の制度の違いは何ですか?
  •    A 1 後見=事理弁識能力が全くない
  •     2 保佐=事理弁識能力が著しく不十分
  •     3 補助=事理弁識能力が不十分
  • といった違いがあります。
  • 基本的な考え方としては、後見の場合事理弁識能力がないので被後見人は日常生活に関する行為以外は法律行為ができないので後見人がほとんどの法律行為を被後見人に代わって行います。
  • 保佐や補助の場合は事理弁識能力がないわけではなくある程度の能力があるため基本的には本人が法律行為を行いますが、重大な法律行為(例えば遺産分割協議や土地などの売買)のみ保佐人や補助人が代理したりします。
  • ですので後見の場合は後見人が本人に代わってほとんどの行為を行いますが、保佐や補助の場合は本人の行為を尊重しつつある一定の行為のみを代理する事になります。
  • 後見・保佐・補助の審判については家庭裁判所が医師の診断書を見たり、鑑定をしたり、本人と面談したりしてどの類型にするのかを決定します。
 Q.後見制度等を利用する場合はどういう時ですか?
  •    A.
  • 1 本人の親が亡くなったりした場合には本人が相続人になります。そういった場合は遺産分割協議をしなければなりませんが、認知症の方を交えて協議を行うと後で無効とされることになるのでそういった場合。
  • 2 本人が相続人になったが、相続放棄をしたい場合。
  • 3 本人が不動産をいくつか所有しているが他に財産がない場合に年金だけでは生活が厳しくなっているので不動産を売却して生活の足しにしたい場合。
  • 4 認知症になったため隣県に住む長男と同居することになり、今まで住んでいた土地や建物を売却したい場合。
  • 5 訪問販売されて高額の商品を買わされてしまう場合。
  • などといった場合に申立てをする必要があります。